永久歯は、親知らず4本を含めて全て生えそろうと全部で32本になります。
しかしながら、生まれつき歯の本数が足りない場合があり、これを「先天性欠如」と言います。
先天性欠如は、歯のもとになる「歯胚(しはい)」が何らかの理由でつくられないことで起こり、前歯から5番目の第二小臼歯、前歯から2番目の側切歯に起こりやすいことがわかっています。
先天性欠如のうち、下顎の前歯が1本生えてこず、通常4本あるはずの前歯が3本の状態を「スリーインサイザー(3 incisor)」とよびます。
前歯が足りなくても、その部位に隙間があいてるわけではないため、ご本人に自覚がなく、歯科医院で指摘されて初めて知るということも少なくありません。
スリーインサイザーは他の先天性欠損歯と違い、治療計画を立てるのが難しい歯並びであるため、診断が非常に重要となります。
スリーインサイザーになる原因
スリーインサイザーを含めた「先天性欠如」は明確な原因が分かっていません。
考えられる原因として遺伝・全身疾患の影響・妊娠中の薬の影響などがあります。
スリーインサイザー放置するとどうなる?
スリーインサイザーは、必ずしも矯正治療が必要というわけではありません。乳歯の残存などがなく、かみ合わせに問題がない場合は、治療の必要がありません。
しかしながら、上顎の歯の全体数に対し、下顎の歯が1本足りないために、上下の前歯が前後的に離れて前歯がかみ合っていない場合が多く、それによってかみ合わせが深くなる「過蓋咬合(かがいこうごう)」を引き起こしている場合もあります
スリーインサイザーに限らず、先天性欠如による欠損歯のある方は、一度専門医に相談しましょう。
スリーインサイザーの治療法
スリーインサイザーの治療を行う場合、上下左右の歯の本数をそろえるためにいずれかの歯を抜歯することがあります。
また、下顎に対して歯が1本多くなる上顎の歯の横幅サイズを調整して(ディスキング、IPR)かみ合わせを整える方法もあります。
治療前のかみ合わせや口元の突出感、小臼歯の状態、上下の歯の中心(正中)をそろえるかなど、さまざまな状況を考慮して慎重に治療方法を決定いたします。
大人の歯が生まれつきない「先天性欠如」で悩まれている方、以前歯科医院で指摘されたことがある方などは、是非一度、吉祥寺矯正歯科クリニックにご相談ください。