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誤嚥性肺炎と歯列矯正による予防について

2026.06.01

矯正コラム

誤嚥性(ごえんせい)肺炎を含む「肺炎」は、日本人の死亡原因の第4位(2024年厚生労働省人口動態統計)となっている疾患です。今回は誤嚥性肺炎についてお話しします。3位にまであがったこともあり恐ろしい死亡率ですが予防できる病気でもあります。

 

誤嚥とは?

誤嚥とは、食べ物や唾液などが気管に入り込んでしまうことを指します。また口から入った食べ物だけではなく、食べた物や胃液が胃から逆流することによっても発症するため、胃ろうの患者様にも起こります。この誤嚥が原因で起こる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。むせなくなってしまい起こりやすくなります。

 

誤嚥性肺炎発症について

嚥下機能が低下しているからといって、必ずしも誤嚥性肺炎であるとは限りません。嚥下機能の低下した高齢者の場合、日常的に誤嚥が起こっています。しかし、誤嚥後に肺炎を発症するか否かは、誤嚥した食べ物や唾液の量やそこに含まれる細菌に対して、誤嚥したものを吐き出す力があるかどうか、そして免疫力とのバランスによって決まります。
当院では舌癖による矯正治療後の後戻りの防止を目的としてMFT(口腔筋機能療法:Oral Myofunctional Therapy)を行っています。MFTとは、正しい筋肉の使い方を習得するため、舌や唇、頬など口周りの筋肉を鍛えるトレーニングです。MFTは、嚥下機能に関わる筋肉を鍛えることにも繋がります。吉祥寺矯正歯科クリニックにて裏側矯正(舌側矯正)など併用して口腔環境も整え治っていく方がとても多いです。医療関係者の方々もこの観点から予防を意識され多く治療を受けていらっしゃいます。

 

誤嚥性肺炎の種類

大きくわけて、

  1. 細菌性誤嚥性肺炎
  2. 誤嚥性肺臓炎
  3. びまん性嚥下性細気管支炎

の3つがあります。

 

誤嚥性肺炎の原因

病気や薬の影響によって嚥下機能や肺の機能が低下すると、誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。

まず3つの種類の誤嚥性肺炎に共通する原因は、「嚥下機能の低下」と「肺機能の低下」です。嚥下機能の低下は加齢や脳卒中、パーキンソン病などの病気、嚥下機能に影響するくすりの服用のある患者様に可能性があります。肺機能の低下は慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)などの患者様に可能性があります。

細菌性誤嚥性肺炎の原因は、「口腔内細菌の増殖」です。
こちらは口腔清掃不良によって唾液中の細菌が増加し、誤嚥時に気管や肺の細菌量が増加します。そのため歯科の領域では口腔ケアでアプローチをします。

誤嚥性肺臓炎の原因は、嘔吐リスクのある病気や手術です。胃ガンの手術後や食道裂孔ヘルニアの患者様は嘔吐しやすく、胃の中の食べ物の逆流が起こりやすくなります。

 

誤嚥性肺炎の症状

  • 細菌性誤嚥性肺炎:呼吸が浅く速くなる・痰が絡んだ咳がでる・発熱が数日間続く・徐々に症状が悪化する。
  • 誤嚥性肺臓炎:食事の直後から咳が止まらない・嘔吐の後に症状がでる・ピンク色の痰を伴う・急な呼吸困難など。
  • びまん性嚥下性細気管支炎:長引く咳や痰・微熱(発熱がないときもある)・息苦しさや呼吸のしにくさ・食事の際に症状がでやすいなど。

 

誤嚥性肺炎の治療

  • 細菌性誤嚥性肺炎:主な原因菌は肺炎球菌やインフルエンザ菌です。細菌の増殖を抑えたり細菌数を減らしたりするために抗菌薬による治療を行います
  • 誤嚥性肺臓炎:肺機能の低下を改善するためには酸素投与や人工呼吸器を使います。また誤嚥した食べ物などの刺激物を吸引し除去します。消化機能の低下がある場合には適切な期間の禁食を検討します。
  • びまん性嚥下性細気管支炎:嚥下機能を評価したうえで食事形態や食事介助の方法を見直します。

 

誤嚥性肺炎の予防

  • 口腔ケア:細菌性誤嚥性肺炎は、口腔内の細菌量を減らすことが予防に繋がります。また口腔内を清潔にするため患者様自身の不快感も軽減されます。口腔機能が低下している患者様や誤嚥リスクの高い患者様に対しては水を使わない口腔ケアなどの工夫が必要です。
  • 歯並び・咬合の改善:歯科矯正により咬み合わせを良くすることで、咀嚼能力が向上し、食べ物を飲み込みやすい食塊(小さくまとまった状態)にすることができます。
  • 食事量や食形態の見直し:嘔吐リスクのある患者様は、食事量を腹八分目にとどめるようにします。胃ろう患者様には逆流による誤嚥を防ぐために液体栄養剤から半固形栄養剤への変更が検討されます。
  • 姿勢の工夫:食事中は顎を引いて誤嚥を防ぎます。食後はすぐに横にならず、睡眠時にはベッドのリクライニングを30度程度にあげるなどの工夫をします。
  • 嚥下機能の低下の原因となる薬の見直し:服用中の薬が嚥下機能に影響を及ぼす場合、中止できるものがないかを検討します。
  • 肺炎球菌ワクチンの接種:誤嚥性肺炎のリスクが高い患者様に対しては肺炎球菌ワクチン接種の有無を確認ましょう。未接種の患者様は主治医に相談することをおすすめします。

 

いかがでしたでしょうか?
まだ誤嚥性肺炎の心配をする時期ではない患者様が多く、ピンとこない方がほとんどかもしれません。しかし、今後の将来において、口腔ケアやMFTによる口腔機能の強化、嚥下のための咀嚼機能の改善を目的とした歯列矯正の必要性が伝わりましたら幸いです。裏側矯正(舌側矯正)・フルリンガル・ハーフリンガル+MFTにより健康寿命獲得を是非、吉祥寺矯正歯科クリニックで!スタッフ一同お待ちしております。

 

心と体の健康を包括的に維持する、クリニック・調剤薬局|未病・予防のセルフケアにも」に弊クリニックが紹介されました。

鈴木美穂

この記事を書いた人

吉祥寺矯正歯科クリニック 院長

鈴木 美穂

日本歯科大学 生命歯学部卒業。日本歯科大学附属病院 歯科医師臨床研修においてポートフォリオ賞を受賞。
日本歯科大学矯正歯科 勤務後、広瀬矯正歯科に副院長(最終役職)として勤務。2021年より矯正歯科治療専門の吉祥寺矯正歯科クリニックを開業。
日本矯正歯科学会 認定医 取得。日本大学大学院 歯学研究科 博士課程 修了 博士(歯学)。

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