第54回公益社団法人日本口腔インプラント学会学術大会が国立京都国際会館にて2024年11月1(金) – 3日(日)の3日間行われました。
全国の大学の教授はもちろんインプラント専門医たちや若手のドクターも含め約6000人の医療関係者が参加されました。多くの先輩や後輩たちにも会え色々と話ができ楽しかったですがやはり我々は診療を休んでの研鑽のために京都にきています。師匠の講演などもありまた、朝からさ最終講演まで全てをしっかりと聞くかとができまた、夜は師匠たちから学会講演の復習と日々の治療の疑問などクローズならではの学びを多く得ることができました。材料も医療機器も世界ではどんどんアップデートされていきますが大切なのはドクターの技術と知識です。この2つの柱をしっかりと強固なものにすることこそが患者様のための還元となります。
今年も残り2ヶ月全力で診療をチームで頑張っていきたいと思います。
TCH(上下歯列接触癖)
皆様は顎関節症、食いしばり、舌癖はありませんか?今回は長い歴史のなか様々な治療がされてきましたが現代最も有効的な考え、治療法などについた少しお話したいと思います。
TCH(Tooth Contacting Habit)とは上下歯列接触癖です。
その症状は、上下の歯を無意識下にて接触させ続けることで、安静に(リラックス)しているときでさえも上下の歯が接触し続けている状態です。
皆様は、歯が接触している時間は1日どれくらいであると思いますか?答えは24時間のうち歯が接触している時間はたったの約20分といわれています。つまりTCHがある人は上下の歯を長時間に渡り接触させ続けていることになります。はたして皆様は1日にどれくらい上下の歯を接触させ続けているでしょうか?
安静にしているときの望ましい噛み合わせは、唇を閉じているときも上下の歯は1~3mm隙間が空いていて(安静空隙といいます)接触していない状態が正しいのです。その時の舌の位置も重要です。
そして、上下の歯を合わせるためには、咬筋と側頭筋という筋肉(咀嚼筋)を使っています。開口筋、閉口筋についてはまた次回お話できればと思います。無意識下で絶えず歯を接触させることは、これらの筋肉が休まずに力が入り続けるということを意味します。ずっと握りこぶしをつくっていたら皆様どうですか?そのためTCHがある場合、咬筋が発達したような顔貌になることもあります。顔の輪郭のエラが気になると相談される人もいらっしゃいますが、だいたいの人がこの咬筋の発達による場合が多いです。これらの筋肉を休ませるために、歯は自然と離れている状態が適しています。エラボトなど一時的な改善として治療している施設も多くあります。(原因に気づいて指導しつつ行っているからドクターのレベルによるので不明ですが。)
他の上下の歯を接触することでおきる問題といえば、歯ぎしりや食いしばりを思い浮かべる人が多いと思います。これらは「一時的に強く噛んでいる状態」になります。それに比べてTCHは僅かな力でも「持続的に上下の歯が接触している」ということを意味しているのでこれらとはまた異なる問題になります。おさらいになりますが、上下の歯が接触している時間が極端に長いという歯の接触癖を持っていることをTCH(上下歯列接触癖)とよびます。
それではなぜTCHは起こるのでしょうか?TCHの原因は、ストレスと悪い噛み合わせであるといわれています。(でも、ストレスをなくしなさいは難しいですよね。)
家事(掃除・料理)テレビ、コンピューターゲームと日常のよくある行動の中でTCHは生じるといわれています。皆様は俯向きながら長時間集中してパソコンやスマートフォンで作業をしたり、ストレスを多く抱えていることはないでょうか?またご自身の噛み合わせの不調和にお悩みをおもちではないですか?(不定愁訴となりドクターショッピングをしてしまう患者様も少なくありません)
ちなみに、マスクをして頭を下げてスマートフォンを見る姿勢は、上下の歯が接触しやすくなります。皆様も日常的にこれらの様子に遭遇したり、またご自身が行っているなど心当たりはないでしょうか?
こういったTCHを改善するには、これらの原因を改善することが必要です。しかし、過度な緊張やストレス、家事など日常のさまざまな場面において、無意識下で起こる癖ですので、改善することがなかなか難しいと思われるかと思います。ですので意識的に精神的・肉体的におけるストレスフリーな環境を作り、1日の中で定期的にTCHが起こっていないかチェックする習慣を身につけ、少しずつ改善に向け進むことが大切です。リラックスを意識し、簡単なセルフコントロールをしていくことがお勧めです。
TCHの対処法として、まずは無意識に歯を合わせていることを本人が自覚することです。そしてその癖をやめるようにすることが大切です。
例えばパソコンやスマートフォンやテレビのリモコン、トイレ、食卓などに「歯を離してリラックス」と書いた紙を貼るなどして、自己認識しやすい環境を作りましょう。こうした意識付けを2~3か月続けることで習慣化され、TCHが改善されていきます。
そしてストレスもTCHの原因の一つと考えられているため、普段からストレスを溜め込まず発散することも大切になってきます。(体を動かしたりラジオ体操や散歩も有効的です。)
そして歯科医院にてかみ合わせの調整を行うことも重要な改善法の1つです。無意識下で行ってしまうTCHは、ご自身ではなかなか気付くことが困難であることが多いです。歯科医師などから、指摘されて初めてTCHの可能性があると気付くことがあります。
噛み合わせが気になる、頬のあたりの筋肉(咬筋)が張っている気がする、こめかみのあたりが痛い(側頭筋)、エラの張りが気になる、もしもこのような悩みをおもちでしたら、一度専門の歯科医院にご相談ください。
歯並びを治す矯正歯科、顎関節症を治す口腔外科、噛み合わせをみる補綴歯科など様々なプロフェッショナルの考えを治療に反映させ最高の治療をすることが最も大切と言えます。