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矯正治療と虫歯予防、矯正中の歯磨きの方法

2022.02.01

矯正コラム

矯正治療は、歯を健康な状態に保ちながら移動させることにより、無理なく歯並びを整えていきます。 そのため、治療期間は他の歯科治療に比べ長くかかり、一般的に1年半〜3年ほどの治療期間を要します。そのため、ブラケット矯正の場合、治療期間中は装置を取り外すことができないことから、口腔内に食べかすや細菌の塊である歯垢(プラーク)が溜まりやすい部分が多くなってしまいます。さらに歯磨きがしづらくなり、適切にブラッシングができていないと虫歯のリスクが高くなります。虫歯が進行してしまうと、場合によっては矯正装置を一旦外して虫歯の治療する必要がでる場合もあります。このようなことを防ぐためにも、矯正治療中は装置に合わせた歯ブラシや、ワンタフトブラシ(毛束がひとつになっている歯ブラシです)などの補助的清掃用具を適切に使用して、普段よりも時間をかけて丁寧に歯磨きをする必要があります。鏡を見ながら指や歯ブラシで口唇や頬を伸ばしながら、磨いている部分や、歯ブラシの動きや当たり具合を確認しながら磨きましょう。歯ブラシの持ち方は、ペンを持つような「ペングリップ」で磨くと良いです。ペングリップは余計な力を入れずに磨くことができますので、小刻みに振動させて動かしましょう。また、あまり泡立ててしまうと、装置部分が磨けているか確認しづらくなるため、歯磨剤の付けすぎには注意しましょう。

当院での矯正治療中には、必ずブラッシング指導と歯のクリーニングを行います。

歯磨き

 

矯正中の歯磨きの方法

①ブラケットの周囲の磨き方

一般的なブラケット矯正装置の場合、装置にデコボコがあるので、その部分に食べカスや歯垢などの汚れが溜まりやすく、ブラケットの周りは特に丁寧に磨くことが重要です。磨き方は、歯ブラシを歯面に対して斜め45度に当てることを意識しながら、ブラケット周辺の汚れをしっかりと取り除きましょう。歯全体を一度に磨くのではなく、歯を1本ずつ丁寧に磨くようにしてください。

 

②歯の間や、歯と歯肉の間の磨き方

歯と歯の間は、歯ブラシを縦にあてて磨き、歯ブラシの先端をうまく使って丁寧に汚れを取り除きましょう。歯ブラシが届きづらい歯と歯の間は、ワンタフトブラシなどの補助的清掃用具を併用すると効果的に汚れを除去することができます。歯と歯肉の境目は、境目部分に毛先が当たるように歯ブラシを斜め45度に傾けて、毛先が潰れないくらいの優しい力で左右に小刻みに振動させて磨くことが大切です。

 

③裏側矯正での歯の磨き方

歯の裏側に装置を装着している場合、歯の表側は、普段通りに毛先を歯と歯茎の境目に当てて1本ずつ丁寧に磨きましょう。歯の裏側は見えづらく、歯磨きもしづらいですが、歯ブラシの毛先を横や縦に変えながら、ブラケットやワイヤー周辺を磨きましょう。奥歯は特にブラシが届きにくく、磨き残しが多くなりやすいので、丁寧に磨くようにしましょう。歯と歯肉の境目や装置の周囲は、ワンタフトブラシを使って左右に細かく振動させて磨きましょう。

 

さらに効果的なブラッシングをするために

定期的に歯垢染色液を使用して歯磨きのチェックを行うことも効果的です。赤く染まっている部分が歯垢なので、どの部分にどのくらい磨き残しがあるかを確認することができます。

虫歯予防効果のあるフッ素入りの歯磨き剤も効果的です。

 

参考文献:今井徹「矯正歯科治療前後におけるカリエスリスクの臨床的評価」2008年

鈴木美穂

この記事を書いた人

吉祥寺矯正歯科クリニック 院長

鈴木 美穂

日本歯科大学 生命歯学部卒業。日本歯科大学附属病院 歯科医師臨床研修においてポートフォリオ賞を受賞。
日本歯科大学矯正歯科 勤務後、広瀬矯正歯科に副院長(最終役職)として勤務。2021年より矯正歯科治療専門の吉祥寺矯正歯科クリニックを開業。
日本矯正歯科学会 認定医 取得。日本大学大学院 歯学研究科 博士課程 修了 博士(歯学)。

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